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音家具 [ onkagu ]





材 料:ウォールナット・メープル
サイズ:W=780 D=370 H=1600

オフィス用キャビネットです。

お客様との事前の打ち合わせで デザイン・サイズ・仕様を決めて製作しました。





引き出しは全て扉の中に入れて欲しいとの依頼で 扉の中に5杯の引き出しが収まっています。
(最上段はA4サイズの3分割、その下2段は長物用。下段はA3サイズの深い引き出しが2列)

引き出しの構造は 最下部は「ハーフ・フレンチ」上3段は「ホール・フレンチ」にして 引き出しの幅に応じ よりスムーズになるように製作しました。





扉周りと鍵穴にメープル材の象眼を施し アクセントになっています。





鍵の柄も既存の金物からウォールナット材に付け替え 家具との統一感を。





写真がボケてしまっていますが この機能はあまり見かけないと思います。

通常、両開きの扉には 両側の扉同士を施錠する機能(いわゆる「鍵」たいがいは右の扉に設置)と 右側を開いた時に左側が開かない様にする機能があります。
写真は ロックを解除し右側の扉を開けた後、左の扉を上から・横から写したものです。

普通は左側の扉の内側に「フランス落とし」と呼ばれる金物などでロックを付けるのですが
少し邪魔な存在に感じられると思い、同じ様な機能を扉の内部に仕込んでみました。
キャビネットの天板部分に磁石を埋め込み、扉を閉めると扉側に仕込んであるピンが天板に開けられた 穴に吸い込まれてロックします。

ロックを解除する時は 扉の横にあるつまみ(写真右)を下に下げるとピンが降りて解除され左の扉が開きます。





右の扉の裏、下部に「音家具(onkagu)」とインタルシア(木象嵌)で文字を入れました。

スウェーデンの音楽業界でお仕事されているお客様のリクエストの一つに「何か『音』を感じる要素も施して欲しい」と言うのがありました。

どのように表現したら良いのか悩んでいたのですが、図面を書き終えた段階で家具に名前を付けなくてはいけなくなり「音楽」と「家具」を合わせて「音家具(おんかぐ)」(発音が「おんがく」に似ている)と木工科の日本人の女の子に助言をされ そのまま提案したところ「『音家具』の文字を日本の漢字でインタルシアにして欲しい」と言われて製作しました。


この品物は 職人資格試験の作品も兼ねて製作しました。

最初の写真は 審査の後すぐにカペラゴーデンの庭にある作品と同じ木(ウォールナット)と並べて撮ったものです。 (審査を無事に終え、キャビネットも胸を張っているように見えませんか?)

ずっとそこにある木が家具や道具、に変わる。その意味を探し続けていかなければと、思った瞬間でした。